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日記やら二次創作やら、つれづれと。
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(TOD2短編)

今歩いているこの道も、

僕らを見下ろすこの空も、

いつか、

消えてなくなるのだとしたら、




You give the one fragment of


僕がリオンとして死んでから18年後の世界。
様々な騒乱と人々の混乱の果て、フォルトゥナ神と、その聖女エルレインとリアラが生まれた。
エルレインは絶対的な神の存在を誇示し、リアラは神ではなく人の力を信じた。
リアラがそう答えを出したのは、英雄スタンとルーティの間に出来た子ども―――カイルがリアラと共に旅をした結果だった。
そしてそんなカイルとリアラに共感し、共通の目的を持ったロニ、ナナリー、ハロルド、レン。そしてイレギュラーとして生き返させられ、ジューダスと名乗る僕はその旅に参加していた。
目的は一つ。
エルレインを倒すこと。
しかし、エルレインの力は強く、今までかなりの苦戦を強いられてきていた。
そのために僕たちは、日々精進しているわけだが  






「ねぇねぇ、リアラ! あっちの方って何があるのかな?」
「え? どっち?」
「行ってみようよ! 競争! よーいドン!」
「えっ!? カイル、いきなりはずるいわ! 待ってー!」
好奇心がそのまま存在しているかのようなカイルと、それに便乗するリアラ。



「んー……あッ! またカイルとリアラはー!」
「しょうがないねぇ、おいかけなくちゃ  」
「はっ! ……そうだよな。追いかけなくちゃいけねぇよな……美人を無視しちゃ失礼ってもんだよな~」
「あ、アンタね~っ! アンタを追いかけさせる方がよっぽどシツレイだよっ! 待ちな~っ!」
カイルの兄貴分かと思えば女に目がないロニと、それを止めるために関節技を決めるナナリー。



「レン、アナタ何やってるのよ?」
「ん? この間行った研究所に面白い道具があってね、今はソレ使って自動型拍手喝采装置の設計中~」
「面白そうね! アタシも加わっちゃおっかな~♪」
「えー! ハロルドは変なことするからダメー
日々怪しげな実験を繰り返す天災科学者ハロルドと、同じく日々実験を繰り返すが功績ゼロのレン。






そんなパーティ。
それが日々、精進を  
「ねぇジューダス! 今のはオレの方が早かったよね!」
「でもカイルはズルしたもの。わたしの方が早かったわ」
ちょっとジューダス! 助けてくれ~! この怪力女がまた  あぎゃ~っ!」
「だ・れ・が・怪力女だってー?」
「ね、ね、ジューダス。レンのこと説得しなさいよ。独り占めしようとするなんて、アタシの助手の風上にも置けないわ」
「誰が助手になったか!? どーせ拍手の代わりにロニの悲鳴でも引き込むつもりでしょーに!」





……しているわけないのであって!

「貴様ら、少しは自重という言葉を覚えろッ!」

日々、叱責が絶たない昨今。
正直、不安になってくる  
本当にこのメンバーでやっていけるのか、と……






とある街での、とある宿屋。
日も落ち、森で野宿するよりはちょうどいい場所にあるこの街でひと休みを選んだ。
それから割り当てられた部屋でベッドに座っているものの、
「ふぅ  」
やはり出るため息。
原因はわかっている。
『お疲れみたいですね、坊ちゃん』
「ああ  」
背中の剣―――ソーディアンシャルティエにも、開く口は重かった。
シャルは幼い頃から共にある。口に出さずとも、今の僕がどんな状態なのかは容易に想像がついているだろう。
旅のし始めは、疑心暗鬼にまみれた時もあった。だが最近では、いろいろと状況も変わり……いや、それよりも共に行動した月日の長さから、信頼し合う存在となった。
しかし……
昨今では昼間のような騒動が、ほぼ毎日続いている。しかも、その中で冷静なのは僕ひとり。
不安になるのも仕方がないといえよう。
『に、にぎやかでいいじゃないですかっ』
なんとか明るくやり過ごそう、という考えからの言葉だろうが  
「…………」
すい、と僕は目を細め、シャルのほうを一瞥する。
『あう……』
それだけでシャルは黙り込んだ。
シャル、悪いな……今の僕は、事をそんな風に受け入れられるほど寛大じゃないんだ  
胸のうちで湧き上がる黒いモノを感じ……
「はぁ……」
すでに何度目かもしれないため息が出た。
これほど憂鬱な気分は久しぶりだった。
……しかし、その状況を打破したのは、唐突に聞こえた音。

コンコン。

扉がノックされた。
誰だ……?
まだ部屋について間もない。また馬鹿騒ぎに付き合わされる可能性も……
と、そこまで考えてさすがにうんざりする。
ひとまず扉を開け  

「何、その顔」

一言目がそれ。
来訪者はレンだった。






「……それで、何の用だ?」
ジト目だったらしい顔をなんとか元に戻し、僕は言う。
ひょうひょうと中に入り込み、すでにベッドを占領しているレン。
こいつは遠慮というものを知らない。
「ん~?」
研究している時以外はほとんどのらりくらりとしているため、口調も緩かったりする。
ゴロゴロと人のベッドの上でくつろぐレンに、機嫌が悪い僕は思い切り眉をしかめた。
「……用がないのなら……!」
「ほいっ、用」
出て行け、と言う前に、遮られたそれは声だけではなく。
ぱちくり、と僕はまばたき。

いつの間にかレンの手には、二つのプリンが。

くぎづけになった僕に、レンはプリンとスプーンを一つずつ手渡す。
プリン……
「ジューダス、後でみんなでお菓子食べようって言ってたこと、忘れてたでしょ」
「あ……ああ。そういえば……」
ぺりぺり、とフタをはがしながら思い返す。
まさかそれがプリンだとは思っていなかったけれど。
一口分をスプーンですくい、それを口に……
「だから持って来てあげたんだよ~ん」
入れる前に、もはやプリンしか映していなかった視界に、レンの姿が。
「……!」
ぴたり、とそこで手は止まり、冷静に僕は神経をたぎらせる。決して顔は動かさず、目だけで周囲を……
「ハロルドならいないよ~。あの子にはちゃんとエサ与えてきたから。当分は大丈夫」
ぐっ、と親指を出すレン。
それはハロルドに悪戯をした子どものような顔だった。
こういう時のレンは嘘をつかない。すでに嘘、というか悪戯をしてきたのだから。
ならば、このプリンも無事、ということだな……
安堵のため息をつく。
前にプリンで解剖をさせられそうになったことを、僕は忘れていなかった。
しかし、それにしても。
「……そこまでして僕の部屋にプリンを持って来て、本当は何の用なんだ?」
一口ずつ安心してプリンを頬張りながらも僕は言う。
まさかプリンを届けにきただけ、なんてことはありえないだろう。何せ、レンはハロルドに認められるほど……いや、ハロルドを出し抜けるほど悪戯に関しての頭脳を持っている。それをここで発揮しないということは、それよりも優先事項があるということ。
今のところ、まったく思いつかないが……
「あー、うんとねー……」
僕よりも豪快にプリンを食べるレンは、僕の方をまったく見ずに言う。
「ジューダス、今日はずいぶんイライラしてたみたいだから」
そんなレンを見ながら、僕は眉をひそめた。
今日は……?
「何か、あったのかな?」
そこでようやく、レンは僕の方を向いた。
その顔は、笑顔。
年上の余裕を見せ付けられたような気もして、少し悔しい。
が、プリンのおかげか、それともその笑顔のおかげなのか。
僕は少しずつ口を開く。
「何かあったわけじゃない。ただ……」
そうだ。別に何もない。
ただ、
「ただ……皆ももう少し緊張感を……」
目線を逸らし、言葉数も少なかったが。
レンは、それだけ言って黙ってしまった僕に、
「そか」
そう言って再び笑顔を見せた。
慌てて僕はプリンに目を落とし、止まってしまっていた手を動かした。
甘いプリンがおいしい。
それから横目に映るレンは、急ぎプリンを口に入れているようで  
もっとかみしめて食え、と言いたいところだが。
どうやら珍しく急いでいるようだ。
新しい実験を思いついたわけじゃないといいんだが……
食べ終わると、レンはやはり瞳を開き、

「じゃ、人肌脱ぎましょうか~!」

楽しそうにそう言うのだった。
実験、じゃないんだろうな……?






「ゲーム?」
一つの丸テーブルを皆で囲み、湿気の多さに不快感を覚えた頃、声を返したのはカイルだった。
今日は大雨。さすがにこれでは外に出るのも一苦労だ、ということで今日もここに泊まり、雨宿りをすることになった。
と、一通りの予定を決めてからレンは言ったのだ。
ゲームをしないか、と。
「そ。この大雨じゃどこにも行けないし、みんな暇だろうと思って。あたしが見よう見真似で作った簡単なゲームだからすぐできるし」
「へぇ~」
カイルは素直に、レンに感嘆の声を上げる。
昨日言っていた一肌脱ぐ、とはこのことだったのだろうか。
しかし……
「……レン。それ、マトモなゲームなんだろうな?」
そう。それが問題なのだ。
レンが作り出すものといえば、論理などは大概合っているのだが、出来上がるものは何故か完成予想図の一歩も二歩も先を行く……いや、逝くもの。
これはこれで天災ハロルドを超えているとも思えるほどだ。
ハロルドもレンには一目置いており、レンの研究に協力することが多い。もちろん逆もしかり。
そして、今回レンが提案するゲーム。
それがマトモである証拠は、今のところ一つもない。
「まぁ、まかせてくださいな~。ゲームに裏はないって」
「そう言うなら……」
にっこりと笑うレンを見て、許可を出すロニ。
もちろん、最初からカイルはやる気だったが。
どうせやることもない皆は、結局レンのゲームに参加することになった。仕方はなしに、僕も付き合うことになる。
しかし、僕はこの時既に気付いていた。
レンの言葉の意味。
ゲームに裏はないが、他に必ず裏がある、と  
そしてレンが出したゲームとは  

「じゃ~ん♪ ウィス~♪」

『………………………………………』

見たことがないはずのものに、何故か固まる一同。
「さ、やりましょやりましょ」
もちろん、誰一人ツッコむことはなかった。






どこからともなく、決して聞いたことがないはずなのにどこか親しみのある音楽が流れてくる。
その状況にどこか翻弄されながらも、僕たちはレンが持っている大量のカードを見た。
「……以上、ルールはわかる?」
レンの説明からすると、ゲーム自体はそれほど難しいものではなさそうだ。コツをつかめば勝てるだろう。
最初配られた数枚のカードを属性に合わせて出していき、なくなれば勝ち。ただし15枚以上カードは持てず、その時点で負けとなる。特殊カードはなかなか多く、それが勝敗を握ることとだろう。
「んー……たぶん!」
一番理解していなさそうなカイルが笑顔で言うが、正直見ていて危ない気がする  
それをレンも感じ取ったか、
「最初は二人ずつでやろっか? チームみたいに」
それなら安心、と言葉は続く。
当然カイルはリアラと組み、ロニはナナリーと。ハロルドは一人でやりたい、と言い出したので、強制的に僕はレンと組むことになった。
「よーし! リアラ、頑張ろう!」
「ええ!」
「足、引っ張るんじゃねーぞ」
「こっちのセリフだよっ」
それぞれ負けず嫌いからやる気は満々のようだが  
まぁ、しょせんゲームだ。そこまで意地になることもない。
そんな軽い気持ちから始めたゲームだった。
が……
「ちなみに最下位の人、罰ゲームアリだからね~」
『何ィィィッ!?』
レンの一言で、それは絶対に負けられないゲームとなった。






どこからともなく、決して聞いたことがないはずなのにどこか親しみのある音楽が流れてくる。
その状況にどこか翻弄されながらも、僕たちはレンが持っている大量のカードを見た。
「……以上、ルールはわかる?」
レンの説明からすると、ゲーム自体はそれほど難しいものではなさそうだ。コツをつかめば勝てるだろう。
最初配られた数枚のカードを属性に合わせて出していき、なくなれば勝ち。ただし15枚以上カードは持てず、その時点で負けとなる。特殊カードはなかなか多く、それが勝敗を握ることとだろう。
「んー……たぶん!」
一番理解していなさそうなカイルが笑顔で言うが、正直見ていて危ない気がする……
それをレンも感じ取ったか、
「最初は二人ずつでやろっか? チームみたいに」
それなら安心、と言葉は続く。
当然カイルはリアラと組み、ロニはナナリーと。ハロルドは一人でやりたい、と言い出したので、強制的に僕はレンと組むことになった。
「よーし! リアラ、頑張ろう!」
「ええ!」
「足、引っ張るんじゃねーぞ」
「こっちのセリフだよっ」
それぞれ負けず嫌いからやる気は満々のようだが  
まぁ、しょせんゲームだ。そこまで意地になることもない。
そんな軽い気持ちから始めたゲームだった。
が……
「ちなみに最下位の人、罰ゲームアリだからね~」
『何ィィィッ
レンの一言で、それは絶対に負けられないゲームとなった。






「じゃあ、一回戦開始~」
それは呑気そのものの声から始まった。
レンの思いつきか企みか、ゲームに付き合うことになった僕たち。
それぞれのチームにカードが配られ、ゲームが始まる。
勝負は確か五戦あったはず。戦略を練らなければなるまい……
何しろ、レンの遊びに付き合った代償として、『君と殴りあうRPGごっこ』罰ゲームを強いられ、カイルとロニが二人そろって昏倒したことが記憶に新しい。
今回のゲームのために、すでに十分なぐらい溜まっている疲労をさらに蓄積するのは御免だ。
「じゃ、オレからね! まずは……先手必勝! 攻撃ー!」
バシ! と勢いつけて出したカードは、風の攻撃カード。
攻撃カードは次の順番の相手にカードを二枚引かせることができる。しかし、攻撃カードで返すことは可能らしく、その分足ささってまた次の相手にいくのだが……
「か、カイル! もう出すの!? 早いわ!」
「え~っ!? もう出しちゃった……」
序盤で出すとは……
カードの枚数が多いため、次の相手も攻撃カードを持っている可能性は高いはず。ちなみに僕も持っている。
「フッ……やってくれるじゃねえか、カイル……」
と、カイルチームの次の順番―――ロニが冷や汗をかいていた。
持ってなかったのか、お前。
あっさりとロニチームはカードを二枚引くことを余儀なくされる。
「運が悪かったようだね……まあいいさ」
ナナリーがひとまずしょうがない、と言うのを見とどける。
次に僕の番。
「これでいいな?」
「うん。なんでもいいよ~」
適当極まりない返答のレンをジト目で見返し、しかし何も言わず僕はカードを出す。
風の属性の特殊カード、チェンジだ。
これで順番の回り方が逆になる。
よって……
「あら、ジューダス。それは挑戦と取っていいのかしら?」
ハロルドは順番待ちを余儀なくされるわけだ。
ちなみに、ハロルドの言葉は黙殺。
「さて、何を出そうかねえ」
「これでいいんじゃねえ?」
ほい、と出されたのは光のカード。
属性問わず出せるカードだが……
「バカッ! こんなところで使うのかい!?」
とまあ、カイルの時と同じような非難が飛んでいたりする。
「じゃあ……火の属性にしておくれ」
光のカードを出した人は、次の属性を自由に決められる。
「わかったわ。カイル、これを出すわよ?」
「う、うん」
カイルとは対称的に冷静なリアラ。出したのは氷のカード。
属性は火から水へと変わる。
次の番はハロルドだが……
「グフフフフッ! さっきこのアタシをないがしろにしてくれたジューダスには、たっぷりお礼をしなくっちゃ♪」
嫌な汗が伝いつつも、やはり出された攻撃カードに、同じく攻撃カードで迎撃する僕。
ハロルドの場合、勝つ手段というよりも自分が楽しむ手段としてカードを出しそうだな……
流れた攻撃カードはロニチームの元へ。
「へへっ、返してやる!」
どうやらロニも攻撃カードを持っていた様子。
「オレだって!」
「……何?」
さらに次のカイルまでも。
これでハロルドまで回ってきたわけだが……
「計算通りっ!」
やはりな……
ハロルドは再び攻撃カードで僕の元へ。
「危なかったね、ジューダス」
「ああ」
もちろん、僕は攻撃カードを出した。実は二枚持っていたのだ。
「げッ!」
それに驚いたのはもちろんロニ。
14枚ものカードを引かされるロニは、もちろん規定の15枚を超えてしまい、ドボン……つまり負けだ。
「チクショーッ!」
「次は負けないよっ!」
そんな感じで終わる一回戦。
次第に場は盛り上がっていった。






「ふっふ~ん。あ・が・り♪」
ハロルドの楽しげな声に、場は凍りつく。
一番手に上がったのはハロルドだった。
もちろん、五戦目を勝ち抜き二位より下になることのなかったハロルドが最下位になるはずもなく。
「神をも超える頭脳を持ったアタシが、負けるわけないのよね~っ」
「さすがハロルド~」
と、レンは褒めている場合ではないのだが……
「お前、忘れていないか? 僕が負ければお前ももちろん罰ゲームの対象となること……」
「忘れてないって~」
至極当然のように返される返答だが、それがまた不安を掻き立てる。
現在、二位だったハロルドがいきなりの一抜け、一位はカイルチーム、二位は僕たち、そして最下位がロニチームというお約束のパターン。
ハロルドが唐突に一位になることも、カイルが運(つまり五分五分)で、リアラが冷静さで一位をキープするのも、僕が頭脳と運のなさで二位になるのも、レンが試合放棄に近い形でいるのも、ロニが馬鹿で最下位に、そのとばっちりでナナリーも最下位になってしまうのも、すでに何度となくゲームを繰り返している僕たちにとっては見慣れた光景だったりする。
「っていうか、今回の罰ゲームは何にすんだ?」
負けそうだ、と思い始めたのか、ロニが冷や汗を掻きながら開催者であるレンに言う。
「んとね~」
実はこっそりハロルドと戦況の中継をしているあたり、やはり試合放棄に限りなく近いレンだが、罰ゲームの手は緩めない。
せめて生死に関わらない程度であると嬉しいのだが。
そして出されたのだが、

「一日禁止令出そうと思って」

『一日禁止令?』
皆がオウム返しに聞き返す。
今までにない種類の罰ゲームのようだ。
「負けた人には、明日一日何かを禁止するの」
「何かって?」
もっともな質問のリアラ。
嫌な予感がするようなしないような……
「それは人によって違うんだけど  カイルの場合は、一人で突っ走るの禁止。リアラはおたま使用禁止。ロニは女の人禁止で、ナナリーは関節技禁止。もう無効になっちゃったけど、ハロルドは実験禁止で、あたしも実験禁止。ンで、ジューダスはツッコミ禁止」

『待て。』

「それを守らなきゃさらに罰ゲーム!『君と殴りあうRPGごっこ』の次作として、『君と叫びあうRPGごっこ』をやってもらいま~す! 前はシャーリィちゃんに来てもらったけど、今度はゲストにクレアちゃん呼ぶから♪」

もはやどこからツッコむべきなのか。
いや、果たしてツッコんでいいものなのか。
………………………なんにしても。

「絶対に勝たなきゃならなくなった、てことだな……」
「みたいだな……」

闘志が燃え上がったのは、言うまでもない。
カイルの調子が別段変わらずだったのは、もともと気合いだけは十分だったせいだろう。
しかし、それが決め手だったのか、事態は思わぬ方向へと進む。

珍しく、負けたのはカイルチームだった。






よく晴れた朝方。
丸テーブルにいるのは僕とレンのみ。
「あれがお前の一肌脱ごう、の結果か?」
紅茶をすすりながら、僕はレンを見据える。
「罰ゲームの内容のこと?」
とぼけたレンに、無言で肯定した。
あの罰ゲーム。
確かにレンの遊び心が見えてはいたが、いつもとは明らかに違う。何しろ、まるで僕が日々ストレスをためる原因を禁止したような内容だったから。
「さぁ、どうでしょう?」
含み笑いをするレンに、むっとする僕。
やはりレンには余裕があるように感じて、それが悔しい。
それからすぐにナナリーが現れた。遅れてロニとハロルドも。
他愛ない挨拶から、旅のことで少し雑談する。
ただ  
「遅いなぁ、カイル」
「リアラも。珍しいねえ」
いつまでも上から降りてこないカイルとリアラ。
こんなによく晴れた日に出発しない手はない。昨日も、明日ここを出ると話をしたはずなのに。
「ま、カイルがねぼすけなのはわかるけどよ」
「でも、起こすのにはいつもリアラが……」
「死者の目覚めで?」
そんなナナリーの言葉を引き継いだのはレン。
一瞬皆きょとんとし―――

「おたま使用禁止ッ!?」
「死者の目覚め封じッ!」

そうロニとナナリーは同時に叫んだ後、また同時に椅子から立ち上がり階段を勢いよく登っていく。
昨日の罰ゲームのせいで秘技死者の目覚めを使えないリアラでは、寝ているカイルを起こせない、ということらしかった。
仕方なしに僕も階段を登りカイルの部屋へ行くが……
「おおおぉぉぉきろおおぉっ! カイルううぅぅぅっ!」
そこには、大声で怒鳴りながらカイルを揺さぶるロニの姿が。
しかしカイルはそれでも起きる気配がなく。

結局出発は昼からとなった。






「こーいう森って、なんかわくわくするよね!」
上げられたのはなんとも呑気なカイルの声。
極限まで寝れて満足なのか、その様子は元気そのもの。
よくもこんな場所でそんなことを言えるな、と思ったのは僕だけじゃないだろう。
かなり鬱蒼と繁って、日差しもところどころにしか届かない。空は晴れ渡っているはずなのに、ここではまったく関係ないようだ。もちろんたびたびでも人が通るわけじゃなく、木の根や枝が行く手を遮り、進みにくいことこの上ない。
この状態でもそんなことが言えるカイルは、もはやさすがと言えよう。
「さすがに、鬱陶しいねえ……」
「ええ……」
ぱきん、とナナリーが木の枝を折る。
そんな音すらすでに聞き飽きた。
「なぁ……他に道はなかったのか?」
「……一本道だと何度も言っただろう……」
すでに反論するのも面倒になってきた。
ロニも同じか、いつもの調子で返ってくるはずの文句はなかった。
次第に口数が減っていく道すがら。

唐突にカイルが声を上げた。

「あ! なんかあっちにありそうだよ!」
叫ぶなり走り出しそうなカイル。
いち早く反応したのは、今まで一言も発することのなかったレンだった。

「突っ走り禁止~!」

ぴたり、と足が止まるカイル。
皆が最後尾のレンを振り返り―――

「禁・止」

笑顔のレンに寒気を覚えた。



しかし、その後思わぬ事態が起こることを、誰が予想しただろうか。






「嘘だろ、おい……」
もはや完全に疲れきった一同。
道に迷ったと等しき状況に陥り、小一時間歩き通しの果て、最後の手段として、カイルが初め指さした方向へ行った先だった。
川が流れ、一面穏やかな草むらが広がっていたのは。
こんな展開は予想外だった。
いつも波乱を巻き込むカイルの暴走が、今回ばかりは自分たちに休息を与える場を示していただなんて。
『………………』
別の意味でも疲れきった一行。
妙なやるせなさと脱力感。
それぞれがそれを受け、散り散りに荷物を置いた。
なんだかぎこちない皆は、各々勝手に休息し始めた。
完全に寝っ転がってしまっているロニを見ながら何も言わず、僕も一人、水を飲もうと川へ向かう。
水に触れると、それは冷たく澄んでいた。
状況が状況だけにどうしようもなく低下している旅の心持を奮い立たせようと、両手を川へ伸ばす。
水を掬い上げ、そのまま顔へ浴びせようとした。

その時。

影が出来た。
一瞬で。
それは、人にしては大きすぎて。
そして剣を抜くことも、振り返ることすらも、
遅すぎた。



―――すでに大柄なモンスターの手は振り下ろされていた。



影は、二つになった。






「レン!?」
ハロルドの悲鳴に近い声を聞くまでもなく、
わかった。



レンが僕を庇って負傷した。






他のものは目に入らない。
吹っ飛ばされたレンを、真っ先に目指した。
赤い血を辿るように。
レンはわき腹をおさえ、うずくまっている。
それから、

「ジューダス! 後ろだ!」

ロニの声に即座に反応して、横に跳ぶ。
大柄なモンスターが、僕を狙っていた。
よく周りを見渡せば、それが何体もいる。
油断していた。
無条件でここを休憩所にしていたが、ここにはモンスターが大量にいたのだ。まるで、獲物を罠にはめるかのように。
明らかな失念だった。
「くっ……!」
歯噛みし、剣を抜く。
本当は、早くレンを……!
「ジューダス、大丈夫か!?」
「ジューダス!」
カイル、ロニが集まり、レンの元へはリアラとハロルドが向かっている。ナナリーはその後方にいた。
モンスターの数はかなり多い。だが、そんなことに構っている暇はない。
「カイル、お前はなるべく大技を使え。ロニもだ。一体一体相手などしていられん」
「え……」
「ちょ……おいおい、ジューダス」
二人の講義の声も無視。
目の前の敵に全てを向ける。
「時間がない。僕も前衛に……」
「な……!」

「待ってってば、ジューダス!」

は、と顔をカイルへ向ける。
カイルは、怒っていた。
「何言ってるんだよ、ジューダス! いつものジューダスらしくない!」
な、何……?
いきなりの言葉に、戸惑う。
「それじゃめちゃめちゃだよ! 焦るなっていつも言ってるの、ジューダスだろ!」
目を見開いた。
焦っていた? 僕は。
怪我をしたレンを見て。

「突っ込むのは、オレの役!」

そう言ったカイルの顔は、笑顔だった。
それから威勢良くカイルは飛び出して……
慌ててロニと僕はそれを追った。
案の定、カイルに隙が出来て―――
「油断するな!」
叱責と共に、カイルを援護する僕。
振り向いたカイルの顔は、やはり笑顔だった。
「まっ、それでこそジューダスってもんだよなっ!」
ロニも敵を相手にしながら言う。

……正直、困惑しているのは僕。

その気持ちを抑えるために、今は戦いに頭を置いた。






ようやくモンスターが片付いて一段楽した後。
「くあぁ~……」
レンが気持ち良さそうに伸びをしているのが見て取れた。
怪我は完治。問題はなさそうに見えた。
「今日はここで野宿ね。もう日も暮れちゃうことだろうし」
ハロルドが空を見上げながら言う。
他の皆も同意し、しかしひとまず休憩だ、と今度は周囲に警戒することは忘れずに休憩していた。
「ほら、早く行きなさいよ」
けしかけてきたのは、ハロルド。
行けというのは、もちろんレンの元だった。






レンは川の側でしゃがみ、揺れる水面を見ていた。
隣に立ちながらも、何も言えない僕。
話し掛けてきたのは、レンだった。
「ねえ」
それを静かに聞く。
「大丈夫だよ、ジューダス」
レンの顔は、笑顔だった。
「ジューダス、みんなのこと、好きでしょ?」
まるで、カイルのような。



……この時、僕はあの罰ゲームの意味を理解したのだ。



「カイルの突っ走りも、リアラのおたまも、ロニの女好きも、ナナリーの関節技も、ハロルドの実験も……全部ひっくるめて、好きでしょ?」
そんな断定的な言葉なのに、僕は一切口を挟まない。
どうして、
「粗探しして嫌いになろうなんて、甘い甘い」
どうしてこいつにはわかるんだろうか。

「だから大丈夫なんだよ。別れの時が来ても……ずっと」

レンが水面に手を触れる。

「消えたりしないんだ、この絆……」

波は揺れて、広がっていった。






本当は、怖かった。
もうすぐ旅が終わってしまうこと。
消えてなくなるだろうこの旅のことを。
僕は消える。それを気にしているわけじゃない。
ただ……
先ほどの戦いでの皆の想いを、
この空気を、
感情を、

繋ぎとめる術はきっとないのだろう、と。

夢のように失われていくのだろう、と。

嘆くことも出来ずに、見守るしかない僕は、
せめて影も形も残ることのないように、と逃げるだけで。



それを、レンに奪われた。

そして―――






「しっかしアレだな!」
ぎょ、と一瞬で緩みかかっていた表情を変える。
いつの間にか周りには、野次馬が勢揃いしていた。
「あのジューダスのあわてっぷりったらもう  」
「アンタだって慌ててたじゃないか!」
「アレはだなあ!」
「アレは~? アレは、アレは!?」
「は、ハロルド  」
「でも、無事で良かったよ、レン!」
「うん。ありがと~、カイル」
いきなり割って入ってきたわりに堂々とした連中である……
「相変わらずだな  」
はぁ、とため息をもらし……



とっつきあいで誰も見てないのをいいことに、
僕は久しぶりに、浮かんだ笑顔をしまうことを止めた。



やはりレンの術中にはまってしまったようで、悔しさから礼を言うことはなかったが、
レンはそれすら見越しているようで、
「今度はジューダスがプリン持って来てね~」
とだけ言った。






……しかし、まさかこれだけやっといてレンがこのまま終わるはずもなく、
「さって、カイルく~ん?」
「へ?」
「突っ走り禁止って言ったのに、ずいぶん好き放題だったみたいだけど~?」
輝かしいほどの笑顔を浮かべるレン。
そしてそれから逃げるように後ずさりするカイル。
周囲はすでに避難済みだった。

「さらに罰ゲーム開始ィ~!」

「そっ、そんなぁ~っ!」






……道も空も、

いつか消えてしまうのだとしたら、

それでもたった一つだけは、

この手に残るだろう。

今も、

この手に持っている………を。






―――そして今日も、精進してないようでしているらしい旅が始まる。



「くっ、クレアーーーっ!!」

「声が小さいわ、カイルくん」








End.

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おっとっとを食べる。
自己紹介:
最近いつもに増してぐだぐだになってまいりました。gdgdって略はけっこう好きだがwktkはいかんとか思ってしまう。
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